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淑女はけっきょく何を忘れてたの?

淑女は何を忘れたか


『淑女は何を忘れたか』
1937年、小津安二郎監督です。
出演は、栗島すみ子、桑野通子、斎藤達雄、佐野周二、飯田蝶子、吉川満子ほか

山の手の裕福な夫婦2人の家に、大阪から、モガで破天荒な姪が遊びにやってくる、というお話です。
タイトルの淑女は、山の手の奥様、栗島すみ子のことなのだと思いますが、初めから終わりまで、戦前のいかにも貞淑な妻というイメージの人物ではなくて、煙草は吸うし、旦那を置いて友人たちと歌舞伎観に行くし、色々わーわーうるさいし、なのです。
それが最後に一挙にいわゆる淑女に変わるかというと特に変わらないし、この家は今後も奥さん主導で時々「増長して」わあわあ怒りながらやっていくのだろうなあと、思います。(もしかしたら「淑女」の意味は元からそのくらい広義なのかもしれませんが)
でもそこがとてもよかったです。
性格は違えど、わりといい夫婦だなあと思います。喧嘩ののち、さいご仲直りできて、夫の斎藤達雄もえらくうれしそうに浮かれているし。
姪の桑野通子と、学生、岡田の佐野周二も、きっとそんな夫婦になるだろうという予感で終わるのです。

いつも弱気な夫、斎藤達雄が、感情的になった栗島すみ子を殴っていさめる、という最後の盛り上がりの場面があります。
殴られて改心して、お互い謝るのだけれど、その後、栗島すみ子が友人たちに「殴られたことを自慢する」という展開は意外でした。友人も「いいわねー」と当たり前のようにうらやんでるのです。何それわけわからんー!

でもこの場面を見ると、淑女は何を忘れてて、何を思い出したのか、この答えは、「自分が夫を好きだということを思い出した」なんじゃないか、と思います。たぶん。そんな気がするという程度ですが。

山の手の奥様の友人とは、飯田蝶子、吉川満子です。
栗島すみ子と3人で井戸端会議のように話しているところが面白くて好きです。飯田蝶子が人の家で出前を取ってもらうのに、「鰻丼はいやぁよ。鰻重がいいわ」とわがまま言ったり、吉川満子と「ばか」「かば」とか言い合っているのも意味不明で好き。
いっぽう、旦那は狭苦しい下宿の一室で、佐野周二とめざし食べていたりするのです。
でもそれもわりと楽しそうなので、よい。

2・26事件の翌年にこんな牧歌的な映画がかかっていたというのも意外でした。歴史の教科書的には、日中戦争の始まった年ですが、ためしに1937年公開の映画のタイトル一覧を見ると、この映画以外でもタイトルからだけで戦争に関係しそうなものは、まだほとんど無いです。

この頃松竹大船のスターだった上原謙が、大船のスターという役で出ています。通り過ぎるだけですが、ものすごく、感心するほどかっこいいです。
上原謙は松竹の先輩女優である栗島すみ子、吉川満子、飯田蝶子から「シルヴァーフォックス」「接待係の謙」「ドアボーイの謙」というあだ名をつけられていたそうです。わりと哀しいあだ名…。接待係て!





テーマ:イラスト - ジャンル:学問・文化・芸術

2011.12.08 | | 壱階―昭和・映画イラスト

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寺坂安里

Author:寺坂安里
大正・昭和初期の文化と着物を愛する水彩画家・イラストレーター、寺坂安里と申します。
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